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フランスと日本

フランス国立図書館 フランス・日本ポータルサイト;

フランス国立図書館館長ブリュノ・ラシーヌより

館長挨拶


ブリュノ・ラシーヌ(写真:ジャン=フランソワ・ロベール)
2012年11月、日本の国立国会図書館のお招きにより、私は東京を訪れる機会を得ました。その際、我々フランス国立図書館は、日本の国会図書館と共同して学術交流を進めるべく三年間のパートナーシップ協定を結び、日仏交流をテーマにした電子展示会をそれぞれの図書館が行うことになりました。
この二つの電子展示会は相互補完的な機能を持ち、国立国会図書館のサイト上では日本がフランスに抱いている情熱を、そして、フランス国立図書館のサイト上ではフランスが日本の魅力の虜になっている状況を明らかにすることを目指しています。両サイトは日仏文化協力90周年を記念し、2014年12月に公開されます。90年前の1924年、日本初のフランス文化施設である東京日仏会館が両国によって設立されたのです。

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この二つのサイトは、日仏間の関係をより広く知っていただくための活動にも参画しています。2008年には、日仏修好通商条約締結150周年を記念した多くの出版物が刊行され、公民問わず様々な団体による展覧会のほか、複数の研究プログラムが展開されました。フランス国立図書館も本プロジェクトにおいて収蔵品を公開し、この分野での知識を深めることに役立つよう務めています。
フランス国立図書館は今回の電子展示会によって、フランスの歴史における日本の位置付けがより明確になると考えています。実際我々の図書館は、百科全書的な知を保管することにより、フランスにおける東洋学の発展において極めて大きな役割を担いました。
まず、18世紀に王立印刷局が極東書物の書誌情報(1742年、エティエンヌ・フルモンの『中国官話』)のために初めて製作した漢字の木活字を思い出すべきでしょう。さらに、この図書館は、フランスにおける日本学発祥の地です。1795年、東洋語学校が図書館の敷地内に設立されました。東洋の書物を手に入れるためコルベールによって積極的に推進された政策により、他に類を見ない写本コレクションが出来上がった結果、学者たちを一カ所に集め、その知識を総動員する必要があったのです。1824年にはアジア学会が創設され、パリは、当時ヨーロッパで生まれつつあった東洋学の中心地となります。パリには最も重要な学術書コレクションが集められ、そのコレクションは図書館に納められました。芸術家たちが日本の浮世絵を知るずっと以前から、我々の図書館は『北斎漫画』を一巻所蔵していました。これは、フランスに入ったおそらく最初の『北斎漫画』でしょう。中国学者アベル=レミュザの若い弟子であったレオン・ド・ロニーは、未開拓のこの新しい研究分野にすっかり夢中になり、図書館の日本書籍を研究し始めます。後に、彼の指導により、帝国印刷局にて仮名の活字が製作され、そして1863年には、彼の指導の下、この図書館において日本語講座が開講されました。1862年の文久遣欧使節団は、この図書館を訪問しています。通訳として派遣されていた若き福沢諭吉、その後日本の近代化を担う一人となる彼は、この図書館が一般に公開されていること、そしてその収蔵品の豊富さに驚いています。

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このプロジェクトを立ち上げた当初より、フランス国立図書館には日本に関する収蔵品が数多く存在することは分かっていましたが、それでも版画、書物などコレクションの多様さは、我々の予想を遙かに上回るものでした。書庫や書誌でのまさに探検とも言える確認作業の結果、我々は、16世紀から20世紀に渡る、あらゆる分野の資料2000点の全内容を電子化しました。資料の中には例えば、日本に関する最初の知識をもたらした16世紀のイエズス会の書簡集や、17世紀初頭の鎖国政策のため事実と大きくかけ離れた、銅版画の挿絵を伴った物語類があります。その他、公文書類、旅行記や写真集などが、19世紀半ば、日本との外交関係が回復すると同時に現れています。開国後、フランスでは、日本から渡来した全ての文物に対する熱狂の嵐が吹き荒れました。美術工芸品、版画などは何世代にも渡り芸術家に影響を与え、作品は美術雑誌や、挿絵入り週刊雑誌の中で細部に渡って分析されました。
国立図書館の収蔵品を見ていると、何世紀にも及ぶ、フランス人の「世界で最も東に位置する地」(ルネサンスの文人ギヨーム・ポステルの言葉)に対する好奇心、情熱、そして時には無理解がはっきり見えて来ます。
当サイトをご覧になる方々は、日仏交流の歴史、その起源から現在までの要約が見られるだけではありません。このポータルサイトの目的は、フランス国立図書館の収蔵品を通し、皆様を日仏交流史の一次資料へのアプローチにまで導くことです。この電子展示会によって、日本の版画作品やそれに影響を受けたジャポニスムの作品、そして写真などの、最も広く知られている資料を自由に鑑賞することが可能になり、さらに、テーマ別に、より貴重で詳細な情報にアクセスすることも可能になるのです。
 

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アンスティテュ・フランセ日本—東京との絶えざる関係により、そしてフランス国立図書館の五十数名のスタッフを動員することにより実現したこのプロジェクトが、研究者及び知的好奇心を抱いている方々に対し、日仏関係を明らかにする歴史的資料へのさらなる接近を可能にすることを願ってやみません。

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