歴史
フランス国立図書館の古書は、当初は写本部門に収められました(アニー・ベルティエの『写本、木版画、拓本・・・』参照)。ジャポニスムの流行により、版画室は浮世絵と挿絵本への関心を強め、コレクションは20世紀初頭に飛躍的に拡大したのです。
写本部門
写本部門に所蔵されている古書の起源は、1743年以前に遡ります。フールモンの『王の目録』が出版された年ですが、この目録にはすでに日本の書物が3冊載っています。そのうちの2冊は貴重なキリシタン版です。
19世紀の初頭に
はフランスと日本の間に国交がなかったにもかかわらず、国立図書館は欧州からの旅行者のおかげで日本に関するコレクションを豊かなものにしました。特に、出島のオランダ東インド会社の商館に住んでいた人々がそうした貢献を果たしたのです。それらは主に、日本の言語や文化の研究に役立つ資料でした。すなわち、事典であったり、歴史書、資料として描かれた絵図などです。この絵図のうちの一揃いは川原慶賀の筆によるものです。さらに北斎工房制作の作品25点もあります。1913年にはスミス・ルズエフのコレクションの寄贈によって、国立図書館に日本の絵写本が加えられることになりました。
版画部門
版画部門の和古書のコレクションは19世紀半ばから積極的に整備されてきました。1843年には学者のクラプロートの蔵書の売却により北斎漫画の一巻がコレクションに入りました。それに続いて19世紀末には、パリの美術商からの購入が特に頻繁になりました。1899年には美術評論家でコレクターでもあるテオドール・デュレ(1838−1927)のコレクションが図書館に入り、大きな転換点となります。このコレクションは上質な刷りの木版画約500冊からなっていました。日本で最も有名な絵師たちの作品がここには見られます。師宣、春信、歌麿、春章、豊国、広重、そして北斎です。北斎はコレクションの4分の1を占めています。1907年、かつて日本の外交官であったエマニュエル・トロンコワ(1855−1918)のコレクションが実業家のロベール・ルボディにより寄贈されたことで、コレクションは一層豊かになりました。これらの500点余りの作品によって、私たちは日本の木版本の歴史を、幅広いジャンルに渡って概観することができます。浄瑠璃の脚本、17世紀の文学の珍しい挿絵入り印刷本、西鶴の好色盛衰記、名所図会なども含まれています。
20世紀に入り、コレクターに対する積極的な働きかけのおかげで複数の寄贈があり、図書館の蔵書は豊かさをまします。ジョルジュ・マルトーやアレクシー・ルアールによる寄贈などがその例です。2005年になって、芸術家のアンリ・リヴィエールの蔵書が、死後に遺族から例外的にすべて寄贈され、コレクションに加わります。これは、主に北斎と広重の900点の版画、そして挿絵本などで構成されています。
版画部門の禁書資料の中には、第一級の重要度を持つ日本コレクションがあり、200点の版画と50点の挿絵本からなっています。バルビエ、マルトー、そしてトロンコワのコレクションに由来するものですが、これらは内容も刷りの質もレベルが高く、12世紀から19世紀の日本の艶絵を代表するものです。