写真
フランス国立図書館は多くの貴重な写真を所蔵していますが、中でも最も古い写真は幕末・明治の開国時に撮影されたもので、パリ地理学会のコレクションに由来します。それ以降、戦後の日本社会を映し出す報道写真まで、時系列で見ることができます。
パリ地理学会のコレクション
パリ地理学会のコレクションには、日本に関わる1,000点あまりの写真があります。形態としては、紙に印画されたものの他に、ガラス乾板、絵はがきなどがあります。しかし、これらの中で最も評価が高いのは、鶏卵紙にプリントされた作品をまとめた着色写真集で、10数冊あります。
このうち最も価値があるのは「シュティルフリート・アンド・アンデルセン」の5巻本の写真集で、おそらくはボナパルト王子(1856-1879)のコレクションに由来しています。
ベアト・コレクション
ヴェネツィアに生まれ英国に帰化したフェリーチェ・ベアト(1832−1909)が、1858年以降欧米に向けて開かれた5港のひとつ横浜に写真館を開いたのは、1863年のことでした。彼は挿絵画家チャールズ・ワーグマンと共に働き、ワーグマンはベアトに写真に着色する技法を伝授します。1866年、写真館は火災により大きな損害を受けましたが、ベアトは仕事を再開し、2年も経たないうちにガラス乾板のコレクションを再構築します。
1868年、ベアトは最初の写真集「ビュー・オブ・ジャパン」(日本の風景写真集)及び「ネイティブ・タイプ」(日本人の肖像や日常風景の写真集)の2冊を出版しています。
報道写真
1904年に創設された報道写真のエージェンシー「ロル」と、1909年に創設された「ムーリス」のコレクションは、特に内容豊かなコレクションになっています。
報道写真は、現実を映し出しながら、見る者にイメージを強く喚起するもので、無彩色特有の強力なメッセージを送りだしています。コレクションには、日本の日常生活や社会的な行事、第一次世界大戦などを撮影した写真が多く含まれています。